○第1講「魅力的な書き出し」
・書き出しは、初対面の人との第一印象に相当し、情報過多の現代社会にあって、自分の書いた文章を最後まで読んでもらうためにもっとも工夫を要するところである。
・魅力的な書き出しに必要なポイントは、
@情報の共有
A情報の空白
B共感できる内容
C意外性のある内容
の4条件を満たすことである。
・情報の共有がないと書かれている内容が理解されない一方、情報の空白がないと続きを読んでもらえなくなる。
@本題に直結し
Aある程度方向性が絞られた
B適度な情報の空白がある
ことが望ましい。
・共感できるような内容にするためには、書く題材を肯定的かつ積極的に描くように努める一方、否定的に描く場合でも、異なる立場にある人が不快に感じる表現は避ける必要がある。また、具体的で印象的な場面を盛り込めると好感度を上げられる。
・意外性のある内容にするためには、私たちの常識に反する内容や、私たちが見すごしがちな興味深い内容を盛りこむとよい。誰もが書きそうなありふれた内容は避け、ありふれた内容を書くときでも、ほかの人が思いつかない見方を示す必要がある。
○第2講「さわやかな読後感」
・文章の終わり方には、大ざっぱに言うと以下のようなタイプがある。
@要旨型…文章の終わりでそれまで述べてきた内容をまとめる結末で、読者に知らない内容を理解してもらうことを目的とする説明の文章に見られる。筆者が結論を明示して終わる終わりらしい終わりだが、意外性に欠けるきらいがある。
A表明型…文章の終わりで筆者の考えを表明する結末で、読者に筆者の考えを理解し支持してもらうことを目的とする説得の文章に見られる。筆者の主張が誤解なく読者に伝わるやはり終わりらしい終わりだが、押しつけがましいと受けられる可能性もある。
B心理型…文章の終わりで筆者の心情を開示する結末で、「要旨型」「表明型」が論理をベースにするのにたいし、「心理型」は心理(感情)をベースにする。インパクトがあり、感覚に訴える力があるが、自己完結してしまいがちで、ひとりよがりな印象を与えることもある。
C間接型…文章の終わりで結論に結びつく内容を間接的に提示する結末で、「要旨型」「表明型」「心理型」の直接的な結末と対立する。成功すれば読者の想像力を喚起する印象的な結末になるが、失敗すると何が言いたいのかわからない結末になる危険性もある。
D省略型…文章の終わりをあえて書かない結末である。余韻のある読後感をかもしだせる反面、読み終えた読者に何か物足りない感じを与える可能性もある。
E付加型…結論が描かれたあとに、さらに何か別の内容をつけ加える結末である。違和感をあえて投じるような結末で、深読みをさせるきっかけを作れるが、蛇足になったり言い訳めいたりするおそれもある。
・上記事項を整理しなおし、細分化すると以下のようになる。
@終わりを直接的に書く…直接型
(1)終わりを論理的に書く…論理型
【1】終わりを説明として書く…要旨型
≪1≫結論をまとめて示す…断定型、のだ型
≪2≫結論をゆるめて示す…推量型、推定型
≪3≫結論に疑問を投げかける…疑問型
≪4≫結論を一般化する…一般型
【2】終わりを主張として書く…表明型
≪1≫結論を実現希望の形で示す…決意表明型
≪2≫結論を実現要求の形で示す…義務表明型
(2)終わりを心理的に書く…心理型
≪1≫結論を感覚的に示す…内面表出型
≪2≫結論を感情的に示す…感情表出型
≪3≫結論の背後にある筆者の事情を示す…舞台裏表出型
A終わりを間接的に書く…間接型
≪1≫結論を描写に込めて示す…描写型
≪2≫結論を象徴的に示す…象徴型
B終わりを書かない…省略型
≪1≫結論がないことを示す…非終了型
C終わりにつけくわえて書く…付加型
≪1≫結論にさらに別の内容を加える…付け足し型
○第3講「冒頭と結末の呼応」
・冒頭と結末を呼応させることは、文章全体のまとまりを感じさせ、その文章の構成と内容を読者に最後にもう一度かみしめさせることになり、有効な文章構成法の1つである。
・冒頭と結末の呼応は一面的なものではなく、複数の文脈が複雑に絡まりあったものである。また、冒頭と結末のあいだの途中経過にも多くの対応関係が見られる。
・対応関係は、似たような文型、似たような形式の語彙、似たような概念の語彙によって保証される。似た部分が多いほど、強い対応関係が意識される。
・対応関係が生じた場合、離れた位置にある文を同じまたは一連の出来事を示すものとして認識させたり、対応する表現に挟まれた部分を1つの意味のかたまりとして意識させたりする効果がある。
○第4講「適切なタイトル」
・情報過多の社会にあっては、タイトルは本文を読んでもらうために、本文の内容と同じくらい重要なものであるので、充分に吟味してつける必要がある。
・タイトルは文章のジャンルによってつけ方が異なる。情報を伝えることを目的とした実用的な文章にあっては、タイトルは本文の究極の要約である必要がある。一方、読んで楽しんでもらうことを目的とした娯楽的な文章では、タイトルは作品の雰囲気を伝え、そのなかにサスペンスを含んだものである必要がある。
・実用的な文章のうち、用件を伝える電子メールのような対人的な配慮を必要とするものについては、「内容が具体的になること」「差出人が特定できること」「表現が失礼にならないこと」の3条件(内容によっては、さらに「急ぎであることがわかること」「返事が必要であることがわかること」の2条件)を満たす必要がある。
・実用的な文章のうち、新聞記事のような事実を伝えることを主眼とした文章では、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」という5つの要素を中心に、「事件性が高い」「事実性が高い」「事件の中核に近い」「イメージが湧きやすい」「身近に感じられる」重要な情報を入れ、「類推が効く」「背景知識からわかる」「常識的な」不要な情報を除いて組み立てる必要がある。
・実用的な文章のうち、コラムや論文のような何らかの主張を伝える文章では、その主張が明確になるように、文章の結論を抽出して示す必要がある。そのさい、その結論を論理的に示す方法、象徴的に示す方法、文章全体のトピックを関連づけながら具体的に示す方法などがある。
・娯楽的な文章のうち、ショートショートのようなオチのある文章では、読んでみたくなるような謎を秘めた魅力的なタイトルで、その文章を読みおわったとき、そのタイトルの意味が初めてよく理解できるというタイトルが理想的である。
○第5講「読者への配慮」
・文章を書くという行為は、「誰が」「誰に」「何のために」「何を選んで」「どう書くか」という5点から考える必要がある。
・メールは、手紙と同様、「私」と「あなた」の1対1の関係で成立する文章なので、「誰が」「誰に」書いているのかを意識することが何よりも重要になる。
・メールの場合、相手が目のまえにおらず、また、簡単に送ることができるので、内容をあまり吟味せずに送ってしまうことが多い。メールを送るまえに、相手が自分のメールを読んでも不快感を覚えないか、用件を適切な順序で簡潔に漏れなく伝えているか、表現は自然で誤りがないかということを、読者の立場に立ってチェックする習慣をつけることが重要である。
・初対面の相手にメールを送るさいには、自分がどのような人物であり、相手にどのような関心を抱いているかを明示することが重要である。つまり、自己を知り、相手を知ることが重要になる。
○第6講「手際のよい説明」
・提供する情報については
@情報の量…重要な情報が抜けておらず、なおかつ簡潔な情報
A情報の質…説明する目的にかなった、関連性の高い情報
B情報の正確さ…間違いやあいまいさのない情報
の3点を満たすことが必要である。この3点は説明の文章においてつねに重要である。
・とくに、道順の案内ということでいえば、
@ルート…わかりやすく、時間や費用のコストの低いルートの情報
A鉄道…路線やホーム、改札口などの情報
Bバス…路線やバス停、渋滞などの情報
C徒歩…歩く方向や距離、目印などの情報
D時間…所要時間や乗り換え時間の情報
E空間…上下、前後左右(要注意)などの空間の情報(東西南北や「〜つめ」はわかりにくい)
F料金…料金や支払い方法の情報
などの情報が必要になる。こうした情報は道順の情報でのみ有効であるが、着眼点そのものは多様な説明文に応用可能である。
・文章一般において読者への配慮は必要になるが、とくに説明文において必要となる読者への配慮としては、
@読者の知識の想定…専門用語や略語には特に気をつける
A注意点の明示…初めての人が間違えやすい点について否定文などを用いて注意を喚起する
Bタイトル…読者がアクセスしやすい、安心感を与えるネーミングが重要
C文章構成…順序を示す表現をうまく用いる。冒頭で説明の骨子を示すのも有効
D文体…文章の目的にかなった文体の選択が必要
の5点が挙げられる。
2008年08月19日
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